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Web 広告の効果測定における、アトリビューション分析の必要性

webマーケティング全般 デジタルマーケティングの基礎

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アトリビューション分析はなぜ必要?

Web広告にはそれぞれ「目標」があります。目標とは、広告を経由してサイトを訪問してくれたユーザーにしてほしいアクションを指します。

・商品を購入すること
・サービスについて問い合わせすること
・一定数以上のページを閲覧すること

広告経由でサイトを訪れたユーザーが、これらの目標を達成することをコンバージョンと呼びます。広告出稿サービス上でコンバージョン数、コンバージョン率と言った指標を確認することで、広告の価値を推定することが出来ます。

しかし、コンバージョン数だけで広告の価値を評価することは危険です。
例えば、広告を経由してサイトを訪れたユーザーは、クライアントのサービスに関する理解を深める機会を得るでしょう。その時点ではコンバージョンしなくても、サイトを閲覧した体験が一助となり、後日コンバージョンがもたらされる可能性があります。
広告をクリックし、その時点ではコンバージョンしなかったけれど、のちに別の経路からコンバージョンすることを「クリックスルーコンバージョン」(Click-through Conversion)と呼びます。
さらに、「広告を見せること」自体に効果がある場合もあります。広告を見たユーザーが、一定期間内に別の経路から訪問してコンバージョンすることを「ビュースルーコンバージョン」(View-through Conversion)と呼びます。ディスプレイネットワーク広告や動画広告など、視覚的なインパクトが大きい広告は、ビュースルーコンバージョンをもたらす効果が高いと言われています。

このような、広告がクリックスルーコンバージョンやビュースルーコンバージョンをもたらす力のことを「アトリビューション効果」と呼びます。直訳すると「要因効果」ですが、「コンバージョンの要因となる効果」と語彙を補うと理解がしやすいです。しばしば「間接効果」と訳されることもあります。
本記事の主題であるアトリビューション分析は、狭義のコンバージョンに加えて、クリックスルーコンバージョンやビュースルーコンバージョンを加味します。そのため、直接コンバージョンをもたらす効果だけでなく、アトリビューション効果を広告の価値に含め、複合的な視点で広告の価値を評価することが出来ます。
まずは、なぜアトリビューション分析が必要なのか、事例を見ながら学んでみましょう。

広告のROIを個別測定した時に陥る罠

複数のWeb広告媒体を活用して集客を図る、とあるデジタルマーケティング担当者にスポットライトを当てましょう。彼はあるクライアントについて5媒体で広告を出稿し、下記の成果が得られていたとします。

広告 インプレッション数 クリック数(課金回数) CV数 CPC
リスティング広告A 130,000 15,000 178 150
リスティング広告B 48,000 2,500 140 225
ディスプレイ広告C 305,000 6,200 89 135
ディスプレイ広告D 129,000 3,800 65 479
動画広告E 150,000 500 1 30
計 762,000 28000 473 -

まずは、以上のデータについて、広告媒体ごとのROIを計算してみましょう。
広告ROIの定義と計算方法については、以下の記事で紹介しています。

・ROIの計算式 広告ROIを知るための計算方法とは?

Web広告の場合は以下の式を使うことで、ROIを評価することが出来るのでした。

ROI = (コンバージョン数 × 営業転換率 × (平均単価 – 平均原価) × 平均リピート回数) / 広告費用) × 100%

ここでは簡単のため、どの広告も平均単価を10,000円、平均原価を2,000円、営業転換率を100%、リピート回数を2回とします。
すると、各広告媒体のROIは以下の値となります。

広告 ROI
リスティング広告A 126.58%
リスティング広告B 398.22%
ディスプレイ広告C 170.13%
ディスプレイ広告D 106.36%
動画広告E 53.33%
計 153.90%

広告の効果測定をする際、一つの効果的な観点は「それぞれの広告が、単体で損益分岐点を超えているか」を見ることです。
ROIが100%を超えていれば損益分岐点を超えており(単体で収益化出来ている)、100%未満ならば損益分岐点を超えていません(単体で収益化出来ていない)。
上記の計算結果から、広告A・B・C・Dについては損益分岐点を超えていて、
広告Eについては損益分岐点を超えていないことが分かります。

広告ROIから立案された施策は功を奏するか?

上記のデータを分析した彼は、クライアントに対してこんな提案をすることにしました。

「コンバージョンの取れない動画広告Eの出稿を止めて、他の広告に費用を使いましょう。」

数字に基づいた提案であったことから、提案はクライアントに受け入れられます。
動画広告に用いていた予算は、他の広告に回されることになりました。
動画広告の出稿を止めてから1ヶ月後、多忙につき広告の効果測定を後回しにしていた彼は、広告出稿サービスで久しぶりに数字を確認しますが、そこで思わぬ状況に直面することとなります。

広告 インプレッション数 クリック数(課金回数) CV数 CPC ROI
リスティング広告A 131,000 15,100 65 150 23.96%
リスティング広告B 48,000 200 2 225 89.60%
ディスプレイ広告C 305,000 6,200 45 135 43.00%
ディスプレイ広告D 129,000 3,800 21 479 9.20%
計 613,000 25,300 133 – 42.84%

なんと、CV数の合計値が473件から133件に激減してしまっていたのです。
ROIについても、数値が著しく悪化してしまいました。

上記のデータをよく見てみましょう。どうやら広告の収益性が低下した原因は、それぞれの広告のコンバージョン率が下がったことにあるようです。
一体なぜ、このような現象が起きてしまったのでしょうか?

アトリビューション効果を鑑みずに施策を打つと、手痛い損失を生むことがある

広告のパフォーマンスを落としてしまう原因は様々ですが、実は今回の失敗は「高いアトリビューション効果を持つ広告の出稿を止めてしまったこと」でした。
動画広告Eは潜在顧客の購買意欲を高めるのに、一役買っていた広告だったのです。たとえ直接的なコンバージョンが少なくても、「動画を見る」という体験を通じて潜在顧客の関心を底上げし、他の広告で流入した際のコンバージョン率を上げる効果を持っていました。
そのため、動画広告Eを止めたことで他の広告A・B・C・Dのコンバージョン率が悪化し、広告全体の採算が取れなくなってしまったのです。
「もし彼が、動画広告Eのビュースルーコンバージョン数を測定していたら、こんなことにはならなかった…」と思うと、悔やまれますね。

アトリビューション分析のやり方

次回は「彼」の二の轍を踏まないための、アトリビューション分析の具体的なやり方を紹介します。
広告の持つアトリビューション効果を適切に測ることで、正しい意思決定が出来るようになりましょう。

・アトリビューション分析の具体的な方法