アドテク市場の動向
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DMP解説 仕組みと役割

アドテクノロジー市場の動向

DMP

 以前、「RTB」「オーディエンスターゲティング」を構成する仕組みでDMPについて少し説明しましたが、さらに具体的な仕組みと役割について、書いてみたいと思います。
 DMPとは、データマネジメントプラットフォームの略で、読んで字のごとくデータを管理するプラットフォームのことです。ではいったい何のデータを管理するのでしょうか?

 DMPは、他のアドテク用語と同様、アメリカ発の新しい用語で、Forresterの2011年7月のレポートでは、こう定義されています。

自社や外部などの様々なデータを統合し、分割・正規化し、それらをすべてのチャネルに入力する技術プラットフォームである。

引用元:admarketech.

 また、IAB(米ネット広告業界団体The Interactive Advertising Bureau)の2012年11月のレポートでは、以下のように言っています。

マルチチャンネルの広告やマーケティング、メディアやユーザーの活性化など、いわゆる”ビッグデータ”と呼ばれるソリューションが具体化したものである。

引用元:admarketech.

 さらにDMPについてまとめている国内の書籍「DMP入門」では、こう定義しています。

DMP(データマネジメントプラットフォーム)と呼ばれるものは、主に2つある。ひとつは広告配信対象となるオーディエンスデータを販売する事業者を指す「DMP」、もうひとつは企業が自社で保有している顧客および将来の顧客の行動をデータベース化する「プライベートDMP」である。また、DMPの中には、広告配信のために導入されるものと、広告を含むより多くのマーケティング施策のためにデータを活用するものとがある。

引用元:DMP入門

 他にも、様々な定義や解釈があるようですので、DMPが抽象的で概念的な意味合いが強い用語であることが分かります。まだ生まれたばかりの言葉であるのと、さらに広い領域への活用が期待されていることがその要因であると言えるでしょう。

 前述のとおり、現時点では広義で解釈するのが好ましい状況であるため、DMPとは、「あらゆるマーケティング活動を行うための様々なデータを管理するプラットフォーム」であると敢えて広めに定義しておきます。異論は認めます(笑)

 さてDMPを改めて定義したところで、その正体をさらに紐解いていきましょう。

DMPの機能

 DMPの機能は、大きくは3つに分かれ、主な機能としては10あります。(人により分類の仕方は若干異なります)

(1)データ収集

・オンラインにおける1st Partyの行動・属性データの取り込み
・オンラインにおける3rd Partyの行動・属性データの取り込み
・オフラインの行動・属性データの取り込み
・異なるデータソース同士を紐付けるIDの付与、取り込み(Cookieを使うのが主流)

(2)データ管理・分析

・データの蓄積
・データの正規化、紐付け
・データの分析
・ユーザーセグメントの作成

(3)データ活用

・セグメント別ターゲットリストの外部システムへの提供
・外部システムで使われた結果データの取り込み(「データ収集」に入れるかどうか悩みどころですが、敢えて「データ活用」に入れます)

DMPの種類

 DMPは、誰のデータを誰が使うのかという観点で、DMPプライベートDMPという2種類に分かれます。この2つは正確には対義語ではなく、DMPはプライベートDMPも包含していると考えて良いでしょう。

・DMP
  自社、他社を問わないデータを利用できるDMP

・プライベートDMP
  主に自社のデータを自社のために使うDMP

DMPが管理するデータ

 DMPが管理するデータは様々で、ありとあらゆるデータを活用することができます。
 ユーザーの行動と直接紐づいていないデータ(例えば天気やTV番組の情報等)でさえも対象となりえます。

DMP

・サイトの閲覧履歴
・検索ワード
・購買データ
・性別・年代等の属性データ
・オフラインでのポイント利用履歴
・天気
・ニュース
・TV番組の情報
.etc

プライベートDMP

・CRMデータ(顧客情報)
・自社サイトでの細かい行動データ
 .etc

データ活用の例

 DMPの大きな特徴の一つが、分析結果をそのままアクションに移せるところです。以下のような活用が考えられます。

・ディスプレイ広告(DSP等によるオーディエンスターゲティング)
・メール配信
・DM発送
・POSレジでのクーポン発行

 また、広告配信以外の活用方法も考えられます。
・広告プラン検討
・広告メッセージ開発
・コンテンツ企画検討
・顧客単価向上施策検討
・ユーザー毎のコンテンツの出しわけ
・ユーザー毎のオンラインクーポンの出しわけ

DMPとCRMシステムの違い

 ユーザーに関する情報をデータとして蓄積して、マーケティング活動に活用するという意味では、以前からCRMシステムがありました。ではCRMシステムとDMPでは、何が違うのでしょう。
 大きな違いは3つあります。

・名前や電話番号等の個人情報を使わずに、Cookie等のIDを用いて異なるデータソース同士を紐付けて統合する
・名前や電話番号等の個人情報を使わずに、Cookie等のIDを用いて外部システムにターゲットリストを渡せる
・ほぼリアルタイムで、データを取り込み、分析し、外部システムにターゲットリストを渡せる

 個人情報を使わないというメリットは非常に大きく、個人情報を保護する観点で、とても望ましい条件です。
 また、ほぼリアルタイムであることも重要です。ユーザーの行動や心境に合わせて、タイムリーなアクションを実施でき、さらにそのリアクションもデータとして取り込むことが可能となります。

まとめ

 ここまで、DMPの仕組みや役割について解説してきましたが、本当にこの仕組みがマーケティングの現場に浸透して、多くの人に使われるようになるのか、非常に興味深いところです。個人的には、CRMシステムに匹敵するような投資コストがかかってしまうようでは、なかなか導入は進まないと考えています。最初の導入段階で、いかに簡単に、コストをかけず、小さく始められるかが鍵になるでしょう。

 私は今年DMPの導入が一気に進む可能性があると思っています。なぜなら、実はすでにDMP導入のハードルを知らぬ間に越えている企業は少なくないからです。今多くの企業が導入し始めているサイトリターゲティングの仕組みは、実はDMPそのものです。使っているデータは、「サイトに訪問したかどうか」という非常にシンプルなデータですが、この「サイトに訪問したかどうか」「どのページを」「いつ」「どこから来たか」「以前に購入したことがあるか」というデータを加えていくと立派なDMPになっていきます。そしてGoogle Analytics等のアクセス解析ツールがこのようなサイトリターゲティングのリストを作成できる仕組みを持つことで、簡易なDMPとして機能しています。
 サイトリターゲティングの導入がまだこれからという企業やマーケティング担当者の方も、まずは始めてみることをお勧めします。

 さて、次回は国内でサービスを展開している各社のDMPとその特徴について簡潔にまとめていきます。

 では、最後に久しぶりのクイズで終わりたいと思います。

DMPで活用するデータとして正しいものは次のどれでしょうか。
 ・ユーザーの自社サイト内でのページ遷移のログ
 ・ユーザーのポイント獲得とポイント消費のログ
 ・景気動向指数

 では次回をお楽しみに!

※本稿は、「admarketech.」や、「DMP入門」の記事をはじめとして、様々な情報を参考にしつつ、独自の解釈も加えています。

トップ画像引用元:Image courtesy of Stuart Miles / FreeDigitalPhotos.net

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この記事を書いた人
岡野 敬太
岡野 敬太
2001年にNTTコミュニケーションズ(株)に入社、データセンター、ホスティングサービスの法人向け営業を経験した後、2005年以降、新規WEBサービス企画・開発の部署で、アフィリエイトサービスや音楽配信サービス、サッカーのモバイルコンテンツサービスの立ち上げに従事。2011年9月より、NTTレゾナント(株)から(株)クロスリスティングに出向し、同社事業戦略室ビジネスデベロップメントグループのマネージャーとして、検索ログを活用した新規事業開発を担当。リスティング広告コンサルティングおよび検索ログ分析を担当する同社営業本部コンサルティンググループのマネージャー等も兼務。