アドテク市場の動向
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アドテック東京2013のセッションレポート(速報)

アドテクノロジー市場の動向

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 2回目となる今回の記事は、「オーディエンスターゲティング」と「RTB」について説明する予定でしたが、「アドテック東京2013」というイベントに行ってきましたので、急遽そのイベントのレポートを書くことにします。

 セッションの中身というよりもこのイベントからアドテクノロジー業界の雰囲気をお伝えすることを目的としたレポートですので、お気軽にお読みください。

ad:tech(アドテック)とは

 ad:tech(アドテック)とは、国際的なデジタルマーケティングに関するカンファレンスで、毎年アメリカを初めとした様々な国で開催されている一大イベントです。アドテック東京としては2009年に初めて開催されてから5回目です。

 このイベントは、事前登録するだけで入れる無料パスと、お金を払って広告業界や大企業のマーケティングセクションで活躍されている著名人のプレゼンやセッションを見ることが出来る有料パスがあります。無料パスだけでも、展示ブースで出展企業が企画しているプログラムが色々あるので充分楽しむことができます。

 来場者は、広告代理店、広告サービスの提供会社、WEBマーケティングツールの提供会社、Webメディアの企業等、広告を生業にする方が多く、広告主の立場の方は少ないかもしれません。

 今年は、昨年と同じ有楽町にある東京国際フォーラムが会場でした。展示ブースが地下の広い会場にあり、セッションは違う棟の上階で行われるため、移動が少し面倒な会場ですが、建物は新しく、綺麗で広々としています。

どんな企業がスポンサーになっているのか?

 さて、どのような企業がスポンサーになっているか見てみましょう。スポンサーを見るとWebマーケティングのビジネスに力を入れている業種や会社がよく分かります。

 最もお金を払っているダイアモンドスポンサーは、アドビシステムズです。PDFやFLASH、Photoshopの会社がなぜWEB広告イベントの一番のスポンサーになっているのか不思議に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実は同社は、海外ではWEB広告に関するツール提供を行う最も大きな企業の一つです。

 2009年にアクセス解析ソフトのサイトカタリストを提供するOmnitureを買収して以降、一気に事業領域をWebマーケティングにシフトし、リスティング広告の自動入札ツールや効果測定ツールの会社を次々と買収して、一気にその地位を築き上げています。今後日本でもシェアが広がっていくのではないでしょうか。

 次にお金を多く払っているプラチナスポンサーは、Yahoo!JAPANです。日本のWEB広告業界のデファクトスタンダードを作り上げてきたリーダーであり、日本最大のWEBメディアです。最近のYahoo!JAPANは非常にアグレッシブに業務提携等を行い、新たな広告メニューの拡充を図っています。

 次は、ゴールドスポンサーのサイバーエージェントと博報堂DYホールディングスです。どちらも非常に力を持ったWEB広告の代理店です。

 シルバースポンサーは、D2C、電通の代理店2社とマイクロソフトです。以下ブロンズと一般スポンサーと続きますが、代理店、facebook、広告サービス提供会社、Webマーケティングのツール提供会社といった企業が並びます。

 そして、スポンサーとは別にパートナーと呼ばれる企業があります。お金を出す代わりにイベントに色々と協力をする企業です。プレミアムメディアパートナーは、日本経済新聞電子版。メディアパートナーは、ダイアモンドやITメディア、マーケジンといったWebニュース媒体です。

セッション「ブランディングにディスプレイ広告は必要か?」を見てきた。

 さて、話は変わって、私が見たセッションについて少し触れておきます。「ブランディングにディスプレイ広告は必要か?」というタイトルで、日経新聞の方がモデレーター、花王とアマゾンジャパンの方がパネリストとなり、ディスプレイ広告でクリックだけを指標にしていて良いのかという議論を展開されていました。500人くらい入れそうな広い会場の席はかなり埋まっていて、人気のあるセッションでした。
なぜこのような議論が人気セッションの題材として取り上げられているのでしょうか。

 インターネットで閲覧できる情報は無料というのが当たり前のこの世の中では、有料ではコンテンツが売りづらく、広告収入が非常に重要です。

 しかし、アドテクノロジーの進化により、購入や会員登録、広告のクリック等を数値として計測することが可能になった結果、良質なコンテンツを提供することと、高単価の広告が売れることが、比例しなくなってきました。数値で表せないプレミアム感では、誰も広告を買わない時代になったわけです。

 一方で、数値で表せるものだけを突き詰めた結果、ブランドへの認知度・理解度の蓄積や促進効果が無視されているという弊害があるのも事実です。

 このように、アドテクノロジーの進化は今まで有力なWebメディアが収入の柱としてきた純広告という旧来型のビジネスを破壊してしまう可能性があり、それを受け入れるかどうかの岐路に立たされているメディアが多く存在しています。現在のWeb広告の評価の物差しを自分たちにとっても(もちろんユーザーにとっても)メリットのあるものに変えたいと願うメディアですが、その優良媒体というプレミアム感を効果として数値化することはまだ難しく、広告主の説得材料に苦慮している話をよく耳にします。

 セッションの内容については特に言及しませんが、主旨としては、オーディエンスターゲティングで人をターゲットできるようになっても、それを表示するタイミングや文脈(contextという言葉で説明されていました)も考慮して媒体を選定することは重要ですよという話でした。花王がアマゾンで実施した事例紹介は非常に興味深い内容でした。




 このような業界の裏事情や背景も踏まえつつイベントに参加すると、様々な立場にある人の発言の真意や、ついぽろっと出てしまった本音等に気づくことが出来て、面白いのではないでしょうか。

 ご興味のある方は、是非会場に足を運んでみてください。

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この記事を書いた人
岡野 敬太
岡野 敬太
2001年にNTTコミュニケーションズ(株)に入社、データセンター、ホスティングサービスの法人向け営業を経験した後、2005年以降、新規WEBサービス企画・開発の部署で、アフィリエイトサービスや音楽配信サービス、サッカーのモバイルコンテンツサービスの立ち上げに従事。2011年9月より、NTTレゾナント(株)から(株)クロスリスティングに出向し、同社事業戦略室ビジネスデベロップメントグループのマネージャーとして、検索ログを活用した新規事業開発を担当。リスティング広告コンサルティングおよび検索ログ分析を担当する同社営業本部コンサルティンググループのマネージャー等も兼務。