ホーム > キーワードコラム >[第5回:2011年度上半期総括]検索ワードから見る消費者行動の変化 2011年度上半期の検索動向を振り返って
keyword column 気になる旬の「検索キーワード」をピックアップして分析
2011年11月24日(木)

[第5回:2011年度上半期総括]
検索ワードから見る消費者行動の変化 
2011年度上半期の検索動向を振り返って

今年もはや立冬が過ぎ、そろそろ年末の足音が聞こえてきそうな時期となってきたが、今年度をざっと振り返ってみれば、国内外を問わず経済問題や自然災害など激動の様相を呈しているといえよう。

今年度上半期(2011年4月~2011年9月)の検索動向を振り返ってみると、全体的には震災関連や原発関連、電力関係、ならびに台風・大雨被害に関連すると思われる気象情報関連の検索ワードが、そのバリエーションおよび検索数を大きく伸ばしているという点が大きな特徴となっている。
ランキング上位にはこれまでと変わらず「Yahoo」や「YouTube」、「mixi」、「Google」「楽天」などといった強力なサイト名が並んでいるが、目を引くのは膨大な無料コンテンツを背景に依然成長を続ける「YouTube/ユーチューブ」の検索数の増加という事実である。
その他に台頭著しいのは「アメーバピグ」、「Facebook」などの新興SNSであり、また「少女時代」「KARA」などといった韓流アイドル、総選挙でにぎわった「AKB48」や「嵐」などのアイドル・グループの躍進も目に留まるところである。

さて、上半期の大きな特徴となったポイントに絞って検索動向から消費者行動の変化を見ていくこととしよう。昨年度の傾向と大きな違いが見られる分野として「日常生活」、「経済」、「レジャー」の三分野を挙げることができる。この三分野を軸として、検索動向ならびに統計データを基に、消費者行動においてどのような変容を認め得るのか確認していきたい。

【日常生活における意識の変容】

―節電―

日常生活に深い関わりのある電力であるが、震災に起因する電力需給の逼迫は節電に対する消費者の意識を改めるには十分過ぎるインパクトであった。
経済産業省による啓蒙活動の影響も大きかったものと思われるが、例えば「節電」という検索ワードでみた場合、昨季の実績に比べて70倍以上という驚異的な伸びを示している。また、節電関連の対策方法やグッズに関する検索ワードのバリエーションの幅も広いものとなっている。

図1

※「節電」の検索数は昨季の70倍以上。また昨季にはほとんど見られなかった検索ワードとして次のようなものがある。「パソコン 節電」「節電レシピ」「節電対策」「節電グッズ」「節電方法」など。

―LED電球の本格的な普及―

節電に関連してLED電球関連の検索数の伸びも「節電」同様に非常に大きなものであった。
単価の高さがネックとなって、なかなか本格的な普及を見なかったLED電球であるが、ジーエフケーマーケティングジャパンによる「LED照明 販売動向」によると、LED電球の販売数量構成比は3月頃までは20%程度での推移であったが、4月以降の販売数量構成比で高まりを見せ、7月第1週においては約半数を占めるに至っている。

図1

―扇風機の躍進―

「買い替える節電」の訴求によって4月~5月と順調に売り上げを伸ばしたエアコンであったが、それ以上に手軽な節電として注目を浴びた扇風機の検索数の伸びが著しい。
ダイソンの「羽のない扇風機」のような話題性に富んだ商品の登場に加え、エアコンしか使っていなかった消費者がより電力消費の少ない扇風機を併用したり、あるいは扇風機の利用のみに切り替えたりなどと、消費者の暑さ対策の変化に伴い扇風機関連の検索も全般的に大きく検索数を増加させている。
また企業による節電対策により、企業のオフィスの室温はかなり高めであったと思われるが、その対策としてであろう「usb扇風機」、「小型扇風機」などの検索数の増加も目を引く。
一方で、エアコンの利用機会の減少に伴い大きく検索数を減らしたものもある。「クーラー病」「冷房病」がそれである。何れも前年の3割程度であり、消費者のクーラー控えの実態を表わしているものと捉えられるだろう。

図3

―暑さ対策―

夏の暑さ対策は大きな問題であったが、電力を消費せずに済む、あるいは電力を使えないからこそのアイデア/工夫を表わす検索ワードが多かったことも一つの特徴であったと言えよう。
例えば「ひんやり」という検索ワードは、昨季の700倍以上という検索数となっているが、そこからは、消費者が冷涼感を得るためのヒントを模索すべく検索行為を行っていた様が想像できる。
同様に「冷」を含む食品やレシピの検索数もやはり大幅な検索数の増加を示しており、暑さを乗り切るための消費者の努力を窺い知ることができる。

図4

―防災意識の高まり―

消費者の意識の高まりを見せたものに「防災意識」を挙げることができる。
大震災や大雨被害の発生が連続したということもあろうが、防災に対する意識への高まりは検索ワードの変化からも見ることができる。「防災」というワードを始めとして「防災グッズ」や「防災用品」、「防災マニュアル」、「防災頭巾」などといった防災および災害への備えなどを表わす検索ワードが高い伸び率を示している。
興味深いところでは「防災科学技術研究所」の検索数が昨季と比べて20倍程度となっていることを挙げることができる。「防災科学技術研究所」のサイトを開いてみると、災害に関する基礎知識や災害に関する研究の成果を見ることができるが、これには消費者が自らの意識でもって防災に対する知識・技術を身につけようとする姿勢を見い出すことができる。

図5

【外国為替への関心】

欧州経済の混乱には未だ収束の様子はなく、米国経済にも明るい兆しを見い出せない中、円が戦後最高値を記録するなど経済は混迷を続けているが、低迷する株価を横目に外為市場に目を向け始めている消費者の存在を見出せる。「ミセス・ワタナベ」と呼ばれる小口外国為替証拠金取引(FX)投資家がそれであるが、矢野経済研究所によるFX市場動向調査によると、口座数および預かり証拠金は拡大傾向にあるという。
実際、検索動向においても一般的な「外為」や「FX」といった検索ワードでの検索数は微増であるものの、専業会社やサービス名の検索数は軒並み増加の様相を示している。
また「FX 初心者」「FX 口座開設」「FX 比較」などFX/外為取引に関する興味を示している、あるいはまさに外為市場に参加しようとしているものと解釈できる検索クエリが見受けられ、大きく検索数を伸ばしている状況にある。
株価の低迷や年金制度の不安が広まる中、消費者は自らリスクを取って資産運用を行わねばならない転機を迎えているのかもしれない。

図6

【継続する「安・近・短」志向】

震災以降、消費者の行動が身近で手軽かつ安価なものへと傾斜していることが指摘されてきたが、その傾向はレジャーにおける検索動向にも見ることができるだろうか?
まず、手軽さ・身近さの観点からいくつか代表的なテーマパークの検索数の動向を見てみることにしよう。
「東京ディズニーランド」や「東京ディズニーリゾート」、「ユニバーサルスタジオジャパン」といった有名なテーマパーク名の検索数は、昨季と比べて1割程度かそれ以上の伸びを確認でき、開業以来初の経営黒字が見込まれる「ハウステンボス」でもその傾向は同様である。
実際、企業の公表内容や報道などから業績や動員人数が分かるテーマパークについては、検索動向と齟齬がないことを確認でき、手軽なレジャー・旅行の好調振りを知ることができる。 図7また、テーマパーク以外では「日帰り温泉」や「日帰り入浴」、「日帰りバスツアー」、「日帰り登山」などといった宿泊を伴わない手軽なレジャーを思わせる検索ワードの増加も目に入る。参考ではあるが、国土交通省観光庁による「旅行・観光消費動向調査」では4月から6月までの旅行に関連した調査データを見ることができるが、日帰り観光の旅行経験率での実績は6月においては前年実績を上回っており、「安・近・短」志向を覗わせる結果となっている。

図8

「安・近・短」志向が見て取れる一方で、その煽りを受けそうなのが海外旅行と思われるが、こちらはどうであったろうか?
日本政府観光局の推計によると、直近でデータの分かる7月から9月までは出国者数が3カ月連続で前年を上回っており、歴史的な円高を背景に海外旅行の需要が押し上げられていたものと推測できる。 検索ワードとしては、欧米主要国から東南アジア、オセアニア、ハワイなど幅広い地域・国名と「旅行」を掛け合わせたワードが見受けられ、何れも検索数を伸ばしている。

図9

以上のことからレジャー・旅行に関しての消費者の動向は、「国内での安・近・短」派と「円高であるうちは海外」派の勢いが増している状況であると言えそうだ。

以上、3つの分野に絞って消費者動向を反映した上半期の検索動向の変化を見てきた。
さて下半期の検索動向はどうなるのか?東日本大震災の影響によってもたらされたと思われる消費者の価値観および行動様式の変化は、恒常的なものなのかそれとも一過性のものなのか?また依然継続中の電力問題に加え、EU情勢の変化やタイ大洪水被害、環太平洋経済連携協定(TPP)の動向などの諸問題が、経済等を通じて消費者行動にどのように影響を及ぼすのか?下半期も社会の動向に焦点をあてながら引き続き検索動向の変化を注視していくこととしたい。

コラムについて

クロスリスティングのサービス

facebook

twitter